luckystrikeyokoの人生はぼちぼち

モータースポーツ好き・旅行したり写真撮ったり・ドイツ暮らし

ハノーファー男

去年のイースター頃が始まり。

とにかく彼氏、もとい話し相手が欲しい病になり、かつドイツ語の練習がしたい為オンラインサイトに登録し複数の男性からコンタクトがあった。
この複数あったコンタクトの中で、一番やり取りが続き唯一物理的に会ったのがこのハノーファー男である。彼は特に日本語を話したいわけではなくいわゆるNew Friendがほしいというステータスだった。(本音は定かではない。)私はドイツで働き初めて、変な大家の元に住んでいた頃。大家の文句やら仕事の話やらを聞いてもらい、休暇や旅行の話などをして、初めて物理的に会ったのはクリスマスマーケットが始まった頃なので、ゆうに半年後。なにしろ彼が住んでいるハノーファーはフランクフルトからICEで2時間半、バスで4~5時間である。

会う前にそれなりの期間メッセージをやり取りするというのは、相手が自分の仕事やらちょっとした考えや嗜好を知っているからか、実際にあうとそれほど緊張感や抵抗感がなくて良い。気の会わない相手ではないとわかっているしなんとなく安心する。たとえば1週間程度で会ってしまうと極端に相性の悪い相手であった、ということもある。にしても半年は長すぎたかな。

そんなこんなで、距離が遠いことはあれどいままで3カ月に1回のペースで会っている。だいたい私が彼の場所に行くことが多い。彼は教師で夏にがっつり休む。会社員のようにある程度好きなペースで金曜だけ休んで3連休、ということが難しい。猫を飼っていることもあり友人や親に猫の世話を頼む都合もある。私は連休などで特に予定がないがフランクフルトにはいたくない、というときにお邪魔させてもらった。都合の良い関係である。

実は一度3か月ほど音信普通になったことがある。数回会った後「この人は違うな」ということがお互いにわかっていたのであろう、彼からメッセージがこないことに対して私自身なんとも思わなかった。3ヶ月後に「Wie geht's?(元気?どうしてる?)」というメッセージからまたやり取りが再開した。


そうはいっても我々はステディな関係ではなくあくまで都合の良い関係でしかない。お互いに「こいつとは恋人にはなれないなあ」とわかっている。よく喋る彼(しかも社会・政治ネタとか難しいのばっか)にあまり喋らない私(社会・政治ネタ弱いのでさらに口挟めない)。彼は夜中2時まで起きているし私は早く寝たいという基盤の生活のリズムが違う。会う時も2日程度ならば耐えられるが3日目からは私が無理。それにお互いすぐに倦怠期っぽく、夜の営みも惰性になる。毎日一緒にいるような相性ではないだろう。

そもそも彼自信が、彼女を欲しいと思っていない。今は縛られたくない、とはいえ他に女がいるわけではないと言う。いずれできるかもしれないけれど、と。彼の生活ぶりから他の女の匂いはしないし(実は当初ちょっとしたけれど、いつの間にか消えていた)、嘘をつくような人ではないので信じよう。



いまもまた音沙汰のない日々で、メッセージは途絶えている。さもありなん、そうだろう、というのは言わずともだが、一番不思議なのは、私が今日寂しさを覚えてしまったことだ。だけどこれはいわゆる彼からメッセージが来ないことでも会いたいのに会えない、ということではない。何しろ彼は私の彼氏ではないしそれを私も望んでいない。唯一言えるのは私が不意に妊娠でもしたとして、私が望めば彼はおそらく父親になってくれるだろう。だけどお互いそれは望んでいない。

この寂しさはなんだろう?おそらく、気持ちが過ぎ去った後に楽しかった日々がフラッシュバックするときのemotionなんじゃなかろうか。毎回会うたびにドキドキしなかったかと言えばウソではないし少なくとも疑似恋愛体験はしていたわけで、ロボットのように全く感情がなかったわけではない。楽しく過ごした時間もある。別れの後のフェーズがやってきたのであろう。


このハノーファー男といて学習したことがある。男性と2人でいる経験だ。実は私は男性と2人でいるのが苦手である。友人ならともかくとして「恋人候補」としてみられるとき、私はとにかく緊張して逃げたくてしょうがない。私の理想の相手は「セックスできる同居人」なのだが、このあたりから「恋人」であることに対する私の恐怖がちらりと見える。過去にも彼氏がいたわけだけれど、恥ずかしながらこの歳で未だに慣れていない。

彼は私に対して昼間は普通の友人のように接し、夜は恋人のように接した。恋人にしたいという期待がない分私も気楽に過ごせた。まさしく私の理想の相手のようである。このおかげで、男性と2人でいるということに少しづつ慣れていった。慣れさせてもらった、というべきか。自分に免疫ができてきたのがよくわかる。その点では彼にとても感謝している。もしメッセージがまた来たとしたら、どうするかな。しかしハノーファーの遠さよ。これが距離を超えるほどの愛でないことは、残念ながら確かだ。



なかなか恋愛ネタのないブログですが、気持も一区切りついたこともありこのハノーファー男について書いてみました。


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